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2008年11月

『身から出た鯖』 中崎タツヤ

この前の金曜日、塾長宅で開かれた上映会に参加した。上映された映画は『ゴジラ』の記念すべき第一作目。僕は不条理な話が大好きなので、存在そのものが不条理極まりないゴジラは、これから作品を書く上で大いに参考になった。

その『ゴジラ』を見て、ふとある漫画を思い出した。それは僕が最も敬愛する漫画家、中崎タツヤの『身から出た鯖』第四巻に収録されている『神の日』という短編漫画。

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まずゴジラのような怪獣が街へ向かっている絵が入る。そしてタイトル。コマが変わり、道端にいる猫をかわいがる少女に「そんなものに構うな」と注意する母親。はっとする二人。何かを見上げている。次の瞬間、無残にも二人は怪獣に踏み潰される。

次のコマは夫の母親に謝っている若い女性。どうやら嫁姑問題がこじれて、別居するという流れのようだ。姑の方は意外にも穏やか。「困ったことがあったら、いつでも言ってくれ」と夫。「そうするよ」と微笑む姑。次のコマでズシーンという音とともに三人は踏み潰される。

この後、2ページに亘って、賄賂を贈ろうとしている政治家、イジメをしている女子高生とイジメられている女子高生、公園でイチャついているカップル、娘を肩車している父親(会話から父子家庭というのがわかる)、こちらに背中を向けて部屋で自慰をしている男などが次々と怪獣に踏み潰されていく。

興味深いのが、次のコマになるとあっという間に殺されるという表現だ。笑っていた人間が次の瞬間、屍になっている。当然だが怪獣には何の躊躇も温情もない。ただ踏み潰すだけ。それだけだ。

例えば原爆で亡くなった人は、それを予期できてない訳だから、投下される前は普通に生活していた訳だ。次の瞬間には跡形もなく消えている。それを考えるとリアルな描き方である。

そして最後のページ、怪獣が海へと帰っていく。

段々と小さくなっていく怪獣。

最後から2コマ目で怪獣が口にした

「オレって平等じゃん」

という台詞。これが堪らなくいい。

悪事を働いている人間も、政治家も、子猫も、部屋で陰部をいじくっている男性もすべて平等に殺される。

初めてこの漫画を読んだ僕は大笑いした。そしてたった4ページでこんな深みのある作品を作り出せる中崎タツヤにを一瞬のうちに尊敬してしまった。

これを完全に踏み潰される民衆の視点から描くと『クローバーフィールド』になるのだが、断然この『神の日』の方が質が高いと思う。

時に漫画というのは、お金をかけずとも物凄いものを作り出せる可能性があるというのを証明している。それは画力のある、なしに関わらない。中崎タツヤの絵は物凄く味があるが、上手い絵ではない。ただ見やすくて伝わりやすい絵ではある。

これを書いていて筒井康隆の『死にかた』という短編小説を思い出した。構成がこの『神の日』とよく似ている。

いきなりオフィスへやってきた鬼がそこにいる社員を金棒で次々と撲殺していく不条理な話。こちらは殺される側がなんとか助かろうと、様々なリアクションを取るのが面白い。危機的状況に陥った人間の滑稽さを上手に描いている。

どちらもお勧めなのでこの『身から出た鯖』と併せてお読みいただければ幸いである。

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参戦決定!

来年の1月11日(日)に再び落語をやる事になりました。

詳しくはこちらhttp://hp.kutikomi.net/hetanarayose/をご覧下さい。

ふー、あと一ヶ月と少しか。こりゃあ猛稽古するしかないな。

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新手のハラスメント

この前酔っ払ったあげく、前に座っていた女の子に

「体重何キロ?」

と何度も聞いてしまい

「それってセクハラですよ」

と顰蹙を買い、しらふに戻ってから日々、反省しているのだが

権力や地位を利用したハラスメントが『パワハラ』なら

重力を利用したハラスメントは、『グラヴィティー(重力)ハラスメント』、略して『グラハラ』になる。

いや相手の体重を利用した場合は『ウエイトハラスメント』、略すと『ウエハラ』になるのか?

うーん。何だか巨人のピッチャーみたいだ。

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初めて救急車を呼ぶ

何度もこのブログに書いているが、僕は現在、大国町のコンビニでアルバイトをしている。朝方から昼頃までなので、客層は悪くない。出勤前のサラリーマンの人などが多い。

さて今日も僕はいつものように働いていた。

その前に……

こちら↓

http://happy.ap.teacup.com/sakugeki/

をお読みいただければ分かるのだが、昨日は塾が終わってから総務のS氏、その他数人の塾生と飲みに出かけた。

じゃリン子チエを地でいくホルモン屋へ行った後、ビール一杯190円の看板の書かれた千日前のホルモン屋にハシゴをする。実は190円というのは、夜の十一時までで、それを知らなかった僕らは18杯もビールを飲みまくり、会計時に『ドヘー』と泣き叫ぶことになったのだが、まあそれはさておきコンビニでの話である。

数時間の仮眠を取り、いつものように出勤した僕が酒臭い息を吐きながら、レジを打っていると、ルンペンのようなおっさんが店内に入ってくる。千鳥足だというのが一発で分かった。

いきなりタバコを出して火を貸してくれという。レジが混んでたので、『ちょっとお待ち下さい』と手で制し、おっさんへの応対は後回しにした。客が減ったので、おっさんを外へと出し、そこで火を貸してあげた。

これで帰るだろうと思ったが、三十分おきぐらいに店にやってきては、鬼ごろしのパック酒(100円)を買いに来る。入り口前の灰皿のところで一服していたお姉さんにタバコをねだったりするのが、レジから見えるので、迷惑だなと思っていた。

まあじきにいなくなるだろうと、僕が仕事をしていると

『ドターン、ガシャガシャ』

というえらい音が外から聞こえた。

何事かと外へ出ると、先ほどのおっさんが自転車の下敷きになって倒れている。頭から血を流している。これはいかんと、自転車をどかして僕は、おっさんの体を揺すり返事ができるか確認をした。

「うーん」とか何とか言っているが、起き上がれないようだ。頭を打っている可能性があるので、すぐに救急車を呼んだ。

十分後、救急車がやってきた。救急隊員の仕事振りをレジから観察していると、一人の男性隊員が入ってきて

「本人が病院への搬送を望んでいないようです。幸い怪我も大したことないようですので、しばらく店の前で休ませてあげて下さい」

と言ってきたので、とりあえず僕はその隊員にお礼を言った。

救急車はおっさんを残して帰っていった。

残されたおっさんであるが、酔っているのでいつの間にか店の前で寝てしまう。当然、買い物に来た客はびっくりする。これはいかんなということで、おっさんを抱え起こすのだが、しばらく座った姿勢を取っていても時間が経つとまた寝てしまう。

その度に僕が声をかけて、体を起こしてあげるのだが、どうも仕事にならない。

おっさんを気にしつつレジに立っていると、背広姿の初老の男性がやってきた。新聞を買った後、何か思いついたかのように

「チーズカレーマンとホットのココアを下さい」

と言った。

「ありがとう」

感じの良い笑顔を残し初老の男性は去って行った。

しばらくするとまたおっさんが横になりだしたので、しょうがねえなとまた外へ出るとおっさんがレジ袋を抱えて眠っていた。

おっさんを起こすときにレジ袋の中身が偶然見えた。

中にはチーズカレーマンとココアが入っていた。

大国町は柄が悪くて、正直あまり好きにはなれないけど、まだまだ捨てたもんじゃないなと思った。

気が付くとおっさんはいつの間にか店の前から消えていた。店の前に食べかけのチーズカレーマンを残して……。

「ちゃんと全部、食えよ」

苦笑いを浮かべた僕は一人ごちながら、カレーマンをゴミ箱へ投げ入れた。

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女性の立ち話

昨日、有栖川有栖・創作塾の第二回目の授業があった。詳しくはこちらhttp://fine.ap.teacup.com/sousaku/をご覧いただくとして

最近、授業が終わると塾生が教室に残って話すのが恒例になりつつある。僕も隣にいたSさん、Yさんとお話をしていた訳なのだが、Yさんが素朴な疑問を口にした。

「どうしてみんな立って話してるんでしょうね。僕たちみたいに座って話した方が楽なのに」

なるほど、確かにそうである。

創作塾の割合で言うと七割が女性で三割が男性。有栖川先生も含めて、座って話しているのは全員男性で、立って話しているのは全て女性だった。

ここでふと僕は自分の小学校時代を思い出した。僕が子どもの頃は、まだ専業主婦がたくさんおり、至るところで井戸端会議が行われていた。僕の母親も例外ではなく、よくイドバタ、イドバタしていた。

あれは確か夏休みだった。朝方、友達の家へ僕が出かけるとき、自宅付近の道路で同級生A・Bの母親が立ち話をしていた。よく見る光景である。ふーんってな感じで友達の家に向かった。

友人宅でドラクエ4を満喫した僕が、夕方頃に帰宅すると、そこには全く同じ光景があった。同級生A・Bの母親が立ち話をしている。立ち位置は朝見た時と全く一緒。お話に夢中で実に楽しそうだ。

一度、家に帰ってまた偶然会ったので話の続きを始めた可能性もあるが、もしかするとそのままぶっ通しで話していたのかもしれない。

今となっては真相は分からないが……。

うーん。井戸端会議、恐るべし。

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近所付き合い

あっもしもし奥さん

田中です

今、大丈夫?

なんかクチャクチャ言うてるけど

あっごめん

ご飯の途中やったんや

何食べてたの?

お好み焼き

そらよろしいわ

うちもよばれたいわ

いやいや、そんな事はええんです

ちょっとね

聞きたい事あるんやけどね

奥さん、うちの犬に眉毛描いた?

ああ、やっぱり

いやこの前もポチに眉毛描いてたでしょ

せやからまた奥さんがやらはったんやないかと思って

アハハやないで、アハハや

しかも八の字に描いたやろ

筆やから取れへんねん

白犬やからよう目立つわ

今も庭の窓からこっち見てるわ

ほんまに悲しそうな顔してるで

かわいそうにポチ落ち込んでしもて

散歩に連れ出そうとしても

踏ん張って動かへんねん

みんなに笑われるから恥ずかしいんやろうな

なんで人の犬に眉毛描くの?

面白いからって

あんたそれあかんで

書道の腕をそんなとこに使ったら罰当たるで

どないしてくれんの?

これ出るとこでたら結構な問題やで

えっ今からお好み焼き持っていくって?

ほんなら今回だけやで

今回はそれで目を瞑るわ

せやけど今度同じ事したら

あんたんとこの猫に眉毛描いたるからな

覚悟しいや

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成分

僕は基本的には100パーセントジュースしか買わない。いつも99円ショップで100パーセントのアップルジュースを買うのだが、この前「おやっ」と思った。

原油高の影響だろうか。100パーセントジュースが70パーセントジュースに変わっていた。悩んだあげく買ったのだが、残りの30パーセントが凄く気になる。

やはりバファリンと同じく、優しさでも入っているのだろうか?

これ以上、優しくはなりたくないが。

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嘘のようなホントの話

僕は現在コンビニでアルバイトをしている。勤務時間は朝の7時からお昼頃まで。

この前の日曜日に僕がいつものように働いていると、雑誌コーナーで不審な動きをしている人間がいた。

背格好からいくと小学校ぐらい。成人雑誌のある棚の前に立っている。遠くから見るとなにかがおかしい。商品整理をする振りをして彼に近づき絶句した。

後ろから見ると彼の右手が明らかに動いている。小刻みに上下に動いている。男なら一発で何をしているかわかる動き。しかもエロ雑誌の棚の前だ。

注意しようかと思った。だが日ごろから客に対しては、丁寧に接するように言われている。一応店長に確認しからにしようと思い、レジの後ろで別の作業をしていた店長に経緯を説明した。

「店長、ちょっといいですか?」

「ん、どうした?」

「こんな事言いにくいのですが……」

「何かあったの?」

「成人雑誌コーナーの前で子どもが一人エッチをしています」

「えっ……」

目を大きく見開いて言葉を失う店長。

「わかった」

と言って立ち上がった店長に僕は続く。

そこに彼の姿はない。

だが雑誌のグラビアシーンが開かれた状態で固定されており、そしてページには白濁したものが付着していた。

無言で顔を見合わせる僕たち。

店長はゴミ掃除の時に使うゴム手袋を持ってくると、表情の無い顔でその雑誌をつかんでゴミ箱へポイと放り投げた。

「今度から注意してくれていいからね」

「わかりました」

無言でスタッフルームに消えていく店長。その背中はさびしげだった。

以上嘘のようなホントの話でした。

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父の決意

玄関で父が母と口論をしている

問題は父の格好についてだ

父はウサギの着ぐるみで出社すると言って譲らない

母は額に汗を浮かべ、必死にそれを阻止しようとしている

三十年間、無遅刻無欠勤の父が

なぜ突然着ぐるみ姿で会社へ行くのか?

それは正直分からない

だが父のことだ

何か狙いがあるのだろう

私はたった一人の父の娘だ

父のことは信用したいし

着ぐるみについても理解を示したい

ただ一つ気になるのは

着ぐるみの背中に貼られた

『打倒! 社長』の紙だ

書道三段の父が書いた達筆な筆文字

着ぐるみで出社することが

社長を倒すことになるのだろうか?

それともこんなイタい社員がいますよと

知られることが会社に対する痛手になるのか

本当のところは分からない

それは父が無事帰ってこられたら

聞いてみようと思う

ああ、とうとう母が説得を諦めた

泣き崩れる母を置いて

家を出て行く父

不覚にも格好いいと思ってしまった

着ぐるみなのに

着ぐるみなのに

ウサギ姿の

着ぐるみなのに……

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ヤリ逃げ

あれっ?

なんかおかしいぞ

うーわ、頭にヤリ刺さってるやん

グッサーいってるやん

あかん先が畳に突き刺さって取れへんぞ

これ完全に貫通してるなあ

綺麗に右から左へ突き抜けてるなあ

クッソー首痛いなあ

なんでや

なんでヤリ刺さってるねん

あっお前誰やねん

あまりの状況に気ぃつかなんだわ

なんで人の部屋で正座してるねん

なんやその格好は?

陸上の選手かい?

ヤリ投げ選手やと?

ほんならこれお前がやったんかい?

「すいません」やないがな

お前俺になんか恨みでもあんのかい?

むしゃくしゃしたから適当にヤリ投げたって

それはお前ダメですよ

ヤリ投げ選手失格ですよ

お前にヤリを投げる資格なんてないですよ

なんやねん

なにをそわそわしてるねん

朝練がありますって知らんがな

その前にする事があるやろ

「もういいじゃないですか」って

お前その態度はないで

完全に開きなおっとるやないか

何をふてくされてるねん

こら畳をむしるな

お前末っ子か一人っ子やろ?

おい、どこ行くねん

こら、ヤリ抜いてから朝錬行け!

あーあー、行ってしもたがな

逃げてもうたがな

これがほんまのヤリ逃げやな

クソー、上手い事言ったのに

誰も聞いてへんし

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彼は自分を愛せない

改めて書くが、僕は今、中山市朗・作劇塾http://sakugeki.com/saku-geki/top.htmlという作家・漫画家の養成塾に通う身だ。

この前、作劇塾の総務をやってくれている菅野君(彼は僕が通っていた専門学校の後輩なので、以下、君づけで書かせてもらいます)の元にあるメールが送られてきたそうだ。

詳しくはこちらのhttp://star.ap.teacup.com/applet/sugano/20081115/archive記事の主に中盤から後半にかけてをお読みいただきたい。

要約すると菅野君の元に『25歳を越えた人間には創造力がなくなり、28歳を越えると知識が身に付かなくなるというのは歴史が証明しているが、その辺りをどう思う?』というメールが送られてきたのだ。

全くナンセンスな話である。

僕が通っているもう一つの塾、創作塾http://fine.ap.teacup.com/sousaku/で塾長をしておられる有栖川有栖先生がデビューされたのも29歳だし、中山先生が新耳袋を出されたのも同じぐらいの年齢だ。

身近なところで例を挙げるだけで、彼のメールがいかに見当違いのものか証明できる。

まあそれはさて置き、ここでは詳しく書かないが、僕は送信者(菅野君に倣ってZ君としようか)が誰であるか知っている。もちろん作劇塾に何の縁もゆかりのなかった人間ではない。

僕自身、来月で29歳になるのでZ君の理屈でいくと、『あなたはすでに終わった人間なんだ』と言われているに等しい。

現在、作劇塾には僕より年上の人も何人かおられるし、その中でデビュー者も実際に出ている。子育てと仕事を両立させながらも、必死に作品を書き続けているツワモノもいらっしゃる。僕と漫画の合作をしている相棒も三十歳を越えている。

Z君は完全に作劇塾の批判をした訳だ。そのメールを読んで烈火の如く怒り、そして悔しがる菅野君の姿を見て、彼が総務で良かったと心底思えた。ただのスケベな男ではなかった。

それにしてもZ君である。結局、彼は何も変わってなかった。いくら論理的であろうが、IQが高かろうが、弁が立とうが、それだけでは人間は幸せになれない。

人生とは自己責任である。結果的につまらないものになったとしても、それは全て己の責任だ。誰のせいにもできない。だからこそ自分で選択して切り開いていかなければならないのだ。

元プロレスラーの大仁田厚が新日本プロレスに乗り込んできた時、しきりに吐いていた言葉を思い出した。

「お前は俺の生き方を否定するな。俺もお前を否定しないから」

Z君は我々、塾生の人生をそして中山先生が命懸けでやっている事を真っ向から否定したのである。

きっと自分の人生が楽しくないのだろう。充実していないのだろう。虚しいのだろう。だからと言って、人に当たるのはみっともないからよして欲しい。

Z君の人生が面白くないのも、人を愛せないのも、

そして自分を愛せないのも(←恐らくこれが根本原因だと僕は思うが)

全てはZ君自身の問題である。彼自身が真摯に向き合って解決すべきなのだ。

中山先生の近くに長年いながら、そんな事も分かっていなかったのは残念としか言いようがない。言葉以外から受け取るメッセージなど山ほどあったろうに。

Z君に一番欠落していたのは、何かを学ぼうという謙虚さだったというのが改めてよく分かった。

人間には絶対してはいけない事がいくつかある。Z君はそれをやってしまった。

彼のような世間を舐めきったニヒリストは、こっちが結果を出して黙らせるしかない。

ぐうの音も出ないほど、完全に黙らせてやるしかないのだ。

喧嘩を売り足りないのなら、また売ってくればいい。

僕がいつでも買ってあげるから。

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『へたなら寄席』終了!

昨日、落語を無事、終える事ができました。へたなら寄席への参加は今回で三回目でしたが、練習期間も含めて今までで一番楽しめました。(アマチュアなのでまず自分が楽しめる事を重要視しております)。少し慣れてきたからなのか、前回、前々回ほどは緊張せずにできました。

がむしゃらに練習するのではなく、どうアレンジしたら面白いか? どの間で話すと面白いか? などを考えられるようになると、より一層、落語にはまりますね。本当に奥が深いです。

見に来て下さった方、ありがとうございました!

これに懲りずにまたよろしくお願い致します。

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部長の必殺技

ああ、今私のかわいい後輩が

私の美代ちゃんが

部長に呼ばれてしまった

恐らく、昨日のミスが原因なのだろう

取引先から苦情があったのは私も知っている

室内にいる人間はこれから何が起こるか知っているのだろう

みんな仕事をする振りをしながら

固唾を飲んで見守っている

ああ、やっぱりだ

部長のアイアンクロー炸裂だ

部長は片手でりんごを潰すほどの怪力の持ち主

私もやられた事があるので分かるが

かなり痛い

こめかみがメリメリと音を立てる

比喩ではなくて本当にメリメリ言うのだ

こういうときの部長はいつも嬉々としている

根っからアイアンクローをするのが好きなのだろう

ごめんね、美代ちゃん

たった二人の女子社員なのに

助けてあげられなくて

素朴な疑問だが

アイアンクローはセクハラではないだろうか?

いやどちらかというとパワハラか?

ちなみに私の名前は桑原である

以後、お見知りおきを

ああ、美代ちゃんが足をバタバタしている

おかわいそうに

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明日の今頃は……

明日の今頃、僕はワッハ上方四階にある小演芸場(上方亭)http://www.wahha.or.jp/kasihoruannai/sisetugoriyouannnai.htmにて落語をやっている。

ああ、想像するとドキドキしてきた。

想像妊娠してしまいそうだ。

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ニュートンとAさん

先々月から格闘技を習っていると先月のブログで書いた。

今は大体、週に二、三度のペースで通っている。月が変わるごとに新しい人たちが入ってくるのだが、中には芸人さんなどもいてたりして(こちらを参照→http://nejisiki27.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-686a.html)面白い。

今月に入ってまだ間もない頃、また新人さんが入ってきた。身長は百七十センチぐらいだが、かなり恰幅が良い。恐らく三十代ぐらいだろうか。

練習前にその人(Aさん)と少し話をした。体がなまっているし、太っているのでシェイプアップのために通いだしたと語っていた。彼の瞳は星飛雄馬のようにメラメラと燃えていた。

これは相当やる気だなと僕は思った。

打撃と寝技のクラスがあり、その時は打撃の方のクラスだった。まず最初の三十分は軽いストレッチやマットを使った運動。ふとAさんを見ると、巨体を揺らしながら頑張っておられる。僕は密かに頑張れAさんとエールを送った。

そして、数分の休憩。みんなこの時間に水分補給をしたり、汗を拭いたりする。僕がタオルで汗を拭っていると、背後で

「ドスーン、ドスーン」

と音がした。振り返るとAさんが休憩時間にもかかわらず、習ってもいない飛び膝蹴りの練習をしている。

『あなたはなんて頑張りやなんだ! Aさんよ』と僕が思った瞬間、突然Aさんが床に倒れて足を押さえた。顔をしかめるAさん。集まるスタッフの人たちと、遠巻きでその様子を見守る僕たち。

どうやら張り切りすぎて肉離れを起こしたらしい。スタッフに肩を貸してもらって端っこへ移動するAさん。

怪我をしたので当たり前なのだが、明らかにテンションが下がっていた。残念ながらその瞳にもう炎は宿っていなかった。

今日はもう帰りますと言って、足をひきずり歩くAさんの後姿はなんとも侘しげだった。

家に帰りシャワーで汗を流した僕はふとAさんの事を考えた。

「彼は地球のG(重力)に負けたんだ。これも全部Gのせいだな。悪いGだ」

などとブツブツ浴室で独り言を呟いた。

Gに負けた彼の事を思うと、とても自慰にふける気分にはなれなかった。

あれ以来、Aさんの姿を見ない。元気にしているだろうか?

それとも地球のGを嫌って、月にでも行ったのかもしれない。

うさぎと仲良くやっているといいが。

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姦淫の女

いいかよく聞け

汝らのうち

罪なき者がまず

この女に石を投げるがよい!

ちょ、ちょっと待ちいな

言うてみただけやん

ほんまに投げると思ってないやん

うーわ、みんなめっちゃ投げてるやん

こいつらどんだけ自分見えてへんねん

日々のストレスが溜まっとるなあ

なんか生き生きしてんもんなあ

ちょっと待て!

みんな一旦、石を捨てろ

ほら見てみいな

女、血だらけやんか

コブだらけやんか

おいおい、なんやねんな

その目つきは

反抗的な目しやがって

自分で言うのもなんやけど

俺キリストやで

そこそこ有名やで

結構、偉いねんで

君らなあ

キリストにそんなことしたら罰当たるで

神様怒るで

イタッ

誰じゃ! 今、石投げたやつは

俺今しゃべってたやろ!

なんで石投げるかなあ

投げるんやったら

この女にやらんかい!

俺に投げてどうするんじゃ、ドアホ!

このスカタンどもが

イタッ! またやりやがったな

ほんまに言うてもわからんやっちゃのお

痛い! 痛い!

せやから痛いねんて

もうやめてえな

石なんか当たったら危ないやろ

もう前言撤回するからやめてえな

石なんが投げたらあかん

当たったら怪我してまうわ

みんな石を離そう

そして俺と話そう

石を持つから投げたなるねん

一回、地面に置こうや

あかん、誰も聞いてへんわ

みんな夢中やなあ

このままやったら死んでまうわ

逃げよ

ハァハァ、普段運動してへんから

ハァ、息が……ハァ切れるわ

せやけど、おかしいなあ

こんなはずやなかってんけどな

ハァ、予想外やわ

ハァ、ハァやっぱあれかな

関西弁があかんかったんかなあ

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落語やります!

今日、へたなら寄席、最後のネタ見せがあり中山先生からアドバイスをいただいた。

さあ後は本番を待つのみ。

高座に上がるのは今回で三回目になるのだが、楽しみ半分、不安半分といったところだ。

詳細はこちらhttp://hp.kutikomi.net/hetanarayose/をご覧下さい。

僕は『桐野はこぶた』で出演します。演目は『動物園』です

もしよければ11月16日(日)は、ワッハ上方四階にある小演芸場(上方亭)http://www.wahha.or.jp/kasihoruannai/sisetugoriyouannnai.htmまで足をお運び下さい。

よろしくお願い致します。

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有栖川有栖・創作塾 第六期始まる

昨日から有栖川有栖・創作塾の第六期が幕を開けた。

詳しい様子などはこちらをhttp://fine.ap.teacup.com/sousaku/をお読みいただくとして

先生のお話の中で非常に印象に残った言葉があった。

『読者はその人の表現が見たいのではなく、作品が見たがっている』というもの。

旧友との再開(http://nejisiki27.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-6be2.html)で

僕が友人に言いたかったのはまさにこれなのだ。自分のためにだけ書いてどうすんねんと、まず作品ありきじゃないかと。

漫画も小説もほとんどの場合、見ず知らずの人に買ってもらうのだ。自戒を込めて書くが、プロを目指す人間が一人よがりで面白くない作品を創るというのは大罪なのである。

それにしても創作塾に入ってくる人は相変わらずユニークな人が多い。普通に生活していると中々出会えない仕事をしている方も結構おられる。

この塾へ来る度に僕は新たな刺激をもらう。そして、塾が終わり教室を出て、自転車にまたがる度に思うのだ。「負けてられへんぞ」と。

さあ、あと五回(一期に付き六回)創作塾を存分に満喫しようではないか。近くに同士がいるという環境は非常にありがたい。こちらもやる気になるし、燃えてくる。

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『岡田斗司夫のひとり夜話』を見て

先ほどgyaoで放送されている『岡田斗司夫のひとり夜話』の第一回目の放送を見ながら一人鍋を食べていたときのこと。

岡田氏が最近HDに録画してまで見るのは『アメトーク』と『やりすぎコージー』だけだと発言した。

僕もこの二つしか最近録画していない。というかあまりテレビを見ない。

ダイラケのように「いっしょや、いっしょ」とテンションの上がった僕は、「プハッ」という笑い声とともに、うどんを吐き出してしまった。

床に落下したうどんの切れ端というのは、真に哀しいもので……。

ごめんよ。うどん。

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『ちびまる子ちゃん』 さくらももこ

さくらももこは意地悪である。意地悪だから笑いが作れる。

ご存知の通りいまや『ちびまる子ちゃん』は国民的マンガ・アニメとなった。りぼんの通巻最高発行部数を誇る。

日曜日には、ちびまる子ちゃんの後にサザエさんが放送されている。両方とも万人に受け入れられているのは間違いない。

だが、この2つは大きな違いがある。ちびまる子ちゃんの方はリアルで実にシニカルだ。

色々な所で指摘されているのが、ちびまる子の子供世界には、確固たるヒエラルキーが存在している。大野君や杉山君が最上位で、そして花輪君、丸尾君、はまじ、ブー太郎、永沢、山根、藤木、山田と言った感じの序列になるだろうか。

上位の者は君付けで藤木や山田はまる子も呼び捨てにする。こういうところがシビアで良い。

さくらももこは、男性優位と言われているギャグ漫画の分野で、勝負できる数少ない女性マンガ家なのだ。ギャグ漫画を描けると言う事は、客観視できるという事である。だから必然的にシニカルな視点を持つようになるわけだ。

エッセイなどにも書いているが、さくらももこ自身、幼少の頃から非常に醒めたガキだったそうだ。確か松本人志も自身の子ども時代を振り返って同じような事を言っていたはずである。

Tibimaruko_2 一巻で『まるちゃん遠足の準備が好き』の2ページ目に登場する洟垂れの男の子の周りには何とハエが2匹飛んでいる。愚鈍な者に対する嫌悪感めいたものすら感じられる。

この話の続きが大分先の5巻にあるのだが、まる子の横に座る例のハエのたかっていた男の子が、バスの中のしりとりをする際に、いきなり末尾に『ん』のつく言葉を口にしてしまう。

バカは徹底的にバカとし描かれている(もちろんそれが作品を面白くもしている)。

この遠足で登山へ行ったまる子が山頂で、たまちゃんたちと楽しそうに食事をする横では、友達のいない男子が一人暗い顔をして心霊写真を眺めている。その男子のコマにはきっちりモノローグで、『彼には友人がいないのだ』とまで書かれている。普通、ほのぼのしたマンガではこういうシーンはあまりない。

言い換えればさくらももこが本質的な意味でギャク漫画家という事の証明になるのかもしれない。

ちびまる子ちゃんは5巻までが凄く面白い。その後の巻ではどちらかというと人情話へとシフトチェンジしてしまった(野口さんは大好きだけど)。
 

ちなみに僕は『サザエさん』をユーモアマンガだと解釈している。あれはギャグではない。ギャグにはもっと毒が必要だ。

『意地悪ばあさん』はどちらかと言ったらギャグ漫画に近い。作者の長谷川町子自身は、『意地悪ばあさん』の方が好きだったそうだ。

『サザエさん』は大衆向けの作品なので、結構無理をしていたのかもしれない。

さくらももこの意地悪さ満開の漫画をもっと読んで見たい。心からそう思う。

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昨夜の出来事

僕はボーっと『すぽると!』を見ていた。テレビ画面には巨人と西武の第六試合の模様が流れていた。

「巨人が負けたのか。これで面白くなったな」と一人ごちていたときの事である。廊下を誰かが歩いてくる音が聞こえる。足音は部屋の前で止まった。ちなみに僕の部屋は角部屋である。

『ガチャ、ガチャ、ガチャ』

突然、我が家のドアノブが回された。何事かと身構える僕。相変わらずドアノブは音を立てている。『FACK!』という怒鳴り声の後、またガチャガチャ音。

恐る恐るドアに近づき覗き穴から外を確認する。

黒人が立っていた。しかも憤怒の形相である。

全身から汗が吹き出し始めた。黒人に恨まれるような事をした覚えはないけどなと思いつつ、何か武器になる物を探した。格闘技を習っていると言ってもまだ二ヶ月ほど。全くの初心者である。ナチュラルボーンマッスルを持っている黒人に勝てるわけがない。

「やばいな。どうしよう……警察に電話するか?」

このマンションに引っ越してきてからもうすぐ三年になるが二度ほど警察の手を借りたことがあった。

思考を巡らせていたら、ピタリと音が止んだ。

もう一度、覗き穴から廊下を見ると、誰もいない。英語でブツブツ言いながら黒人が去っていっているようだ。

心から安堵した。

数十秒後、上の階でガチャンとドアの開閉音がした。その後、ドタドタという大男の歩く音がした。

恐らく真相はこうだ。酔っ払った黒人が階数を間違えて、一階下の僕の部屋のドアを開けようとした。しかし、当然黒人の持っている鍵ではドアは開かない。なぜだと怒る黒人。

数分後、黒人はようやく気づいた。

「あっわしの家、上の階やん」と。

僕の上の階には、漫画の相棒が住んでいるのだが、そう言えば隣に黒人が住んでいると言っていたのを後で思い出した。

それにしても、もし鍵をかけていなかったらと思うとぞっとする。犯されていたかもしれない。

どちらかと言うと僕の方が「FACK!」と叫びたい心境だった。

でも叫ばなかった。

だって泣く子と地頭と黒人には勝てっこないのだから。

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携帯の予測変換機能

『くりぃむナントカ』というバラエティ番組をご存知だろうか? 関西地区ではテレビ朝日系列で月曜の深夜、内村プロデュース終了後に放送されていた、くりぃむしちゅー初の冠番組である。

この番組の中で『ナントカ変換』というコーナーがあった。携帯電話の予測変換機能を利用し、最近使った変換ワード上位5つを当てるいう趣旨のものだ。つまりそこに出てくる言葉によって、その人の人間性が分かるのだ。

例えば一般的には『あ』と入力すると『ありがとう』とか『明日』などの言葉が出てくるのではないだろうか。

僕の場合、何が出てくるかというと……

『い』→『淫乱』

『え』→『エクスタシー』

『お』→『おっぱい、おかみ』

『か』→『家庭教師』

『き』→『巨乳、巨根』

『ぎ』→『義母』

『こ』→『黒人』

『し』→『素人』

『じ』→『熟女』

『す』→『スチュワーデス』

『だ』→『団地妻』

『と』→『豊丸』

『な』→『中出し』

『ば』→『爆乳』

『ひ』→『人妻』

『ふ』→『不倫、筆下ろし、フェラ』

『ほ』→『本番』

『ぼ』→『ボイン、母乳』

『ま』→『マラ、マンイーター』

『み』→『三十路』

『よ』→『四十路』

『れ』→『レズ、レースクイーン』

とまあこんな言葉が上位に出てくる。卑猥なフレーズのオンパレードである(黒人や三十路、四十路の言葉自体はそうではないけれど)。

だからと言って僕が女性にセクハラメールを送っているわけでも、男友達に下ネタメールを送っている訳でもない。

前にも書いたが僕はヤフーオークションでアダルトDVDを販売している。そのときに携帯のメモ帳をよく使うのだ。まず売れそうな商品があったら、メモ帳にタイトルと値段を入力する。そして家に帰りヤフオクとアマゾンで相場を見てから、「買いだ!」と思ったら再び店に戻り購入という流れになる。

だから僕の携帯の予測変換ワードはこんなフレーズで満たされているのだ。

でも初対面の人に何の説明もしないで、これを見られたら間違いなく誤解されるだろう。

だから僕は人前でメールするときは、左右に人がいないのを確認してから打つようにしている。クワバラ、クワバラ。

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練乳おじさん

おい、お前人の家で何してんねん

チュー、チュー音立てて

お前何を吸うてんねん

あっそれ俺の練乳やんけ

なんやねん

なんでお前、俺の練乳吸うねん

ほらここ見てみ

ちゃんと『お父さん』て書いてあるやろ

すいませんてなんやねん

謝るぐらいやったら最初からすなよ

何をぺこぺこ頭下げとんねん

大の大人が情けない

ええか?

お前がやってる事は犯罪やぞ

ほんでお前誰やねん

こんな時間に人んちの台所で

練乳吸うってどういう事やねん

“練乳おじさん”やと

知らんがな

そんなん言われても知らんがな

ご存知みたいな言い方すんな

ご存知みたいな言い方すんな

とりあえず警察に電話するからな

逃げるなよ

そこいとけよ

あっもしもし

夜中にすんませんな

不法侵入ですわ

なんかね

いきなり人ん家に入ってきて

練乳吸うとったんですわ

しかも、ちゃんとラベルのとこに

お父さんって書いてあるんですよ

考えられへんでしょ?

あっお父さんていうのは僕のことなんですけどね

とりあえず、ちょっと来てもらえますか?

あっすいません

ちょっと待って下さいよ

うーわ、あいつ逃げよったがな

しもたなあ

ちょっと目ぇ離した隙にこれやがな

なんや床に上に百円玉落ちとるがな

これあいつが置いていきよったんか

なんで百円やねん

足らへんっちゅうねん

百円で練乳が買えますか?

もう一回言うたるわ

このご時世、果たして百円で練乳が買えるんですか?

買える店あったら教えて欲しいわ

毎日そこに通うっちゅうねん

あいつ練乳おじさんとか言うといて

練乳の事、全く知らんやん

あいつ口だけやん

全然、練乳おじさんちゃうやんけ

ちょっとだけあいつに期待した俺自身にもがっかりやわ

なんかもうがっかりやわ

完全に名前負けや

返上せえ、返上

どっちか言うと俺の方が練乳おじさんやっちゅうねん

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北野映画と引き算

今度、父親と子どもを題材にした小説を書こうと思い、近頃その手の作品を見たり読んだりしている。松本大洋の『花男』や角田光代の『キッドナップ・ツアー』、北野武の『菊次郎の夏』など。

僕は元々、北野映画が大好きだ。『菊次郎の夏』ぐらいまではほとんどが名作だと思う(『あの夏、いちばん静かな海。』だけはよく分からなかったが)。

Kiku

『菊次郎の夏』を初めて見たのは七、八年前だ。見終わった後、なぜか涙が止まらなかったのを覚えている。特に細川ふみえとその彼氏が関口雄介演じる正男と戯れるシーンが好きだ。

二人の周りをグルグルと回る正男。久石譲の音楽が流れる。ほのぼのしていて良いシーンだ。思わず微笑んでしまう。そしてカメラが引いていくと“立入禁止”の看板が……。お笑い芸人だけあって、脱臼のさせ方が上手い。

この映画を見たのは恐らく今回で四回目になるのだが、見る度に発見がある。よく北野映画は引き算を駆使していると言われるのだが、なるほどなと思った。

まず台詞が少ないし説明的なシーンもあまり無い。無駄を削いで削いで、極限まで引き算をしようとしているように見える。

小説でいうとハードボイルドの文体がそうだ。ハードボイルドは接続語を抜いて短い文体を重ねる。無駄を省き、簡潔な言葉で言い表す。それを映画でやっているような感じだ。

『菊次郎の夏』で言うならば、夜店のシーンが分かりやすい。たけし演じる菊次郎が、むちゃくちゃをしすぎて、その筋の人が出てきてしまう。彼らと対峙する菊次郎。

次のシーンでは、菊次郎の鼻から血が流れ出ている。「子供がいるんだ、やめてくれよ」と菊次郎。

そしてまたシーンが変わる。俯せで土の上に倒れている菊次郎。ヤクザが菊次郎を殴ったという描写は完全に省略されている。

また正男もあまり言葉を発しない。黙ったままのバストアップがたっぷりの間で撮られている。それを見ている観客は、どういう気持ちでいるのだろうと考えさせられる。端折られた分を見る側の想像で補っているのだ。

そう言えば北野武は、小学校時代に算数が大変、得意だったそうだ。

かく言う僕はというと、クラスで二番目に百マス計算が遅くて、そろばん塾に通う羽目になった。

サインやコサインなんて、単語を耳にするだけで「いやん」ってなる。

それぐらい苦手だという事だ。

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『作劇ネトラジ!』の宣伝

この度、作劇ネトラジ111回のメインパーソナリティーを務めました。こちらからhttp://www.voiceblog.jp/sakugeki/ダウンロードできますので、良かったらお聞き下さい。

ちなみに出演者のプロフィールはこちらからhttp://sakugeki.com/saku-geki/cast.htm確認できます。

テーマは『クリエイターの幸せ』について。

みなさん、幸せですか?

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ストⅡ

「あの、すいません」

「ヨッガ、ヨッガ」

「道をお聞きしたいんですけど」

「ヨッガ、ヨッガ」

「ちょっと、僕の話聞いてます?」

「ヨッガ、ヨッガ」

「いや、だから道をね」

「ヨッガァフレイム」

「あっつう!」

そうなのだ。結局、行き着くところはダルシムなのである。

遊びでこれを書いていて、ふとあることを思い出した。

小、中学校の頃の話である。近所にインド人のハーフの男の子がいた。お父さんがインド人でお母さんは日本人。お母さんは確か看護婦をしていた。

小学生男子というのは、物凄く残酷でアホなため、よく肌の色のことをからかわれていた。それで何度か問題になりクラスでそのことを話し合ったこともあった。

中学校で同じサッカー部に入ったことがきっかけで仲良くなった。彼の家は決して裕福とは言えず、お小遣いも他の人間より少なかった。

ブラックバス釣りという共通の趣味があり、日曜日になるたびに一緒に釣りへ出かけた。僕は地元の高校に進まなかったので、高校に入ってから疎遠になった。

ある日、ふと彼の顔を見たくなった僕は、ふらりと家を訪ねた。しかし何度インターフォンを鳴らしても応答がない。

後で知ったのだがお父さんが突然、失踪しインドに帰ったという噂が立っていた。その後、急にその友人の姿もみなくなったそうだ。

彼は今、どこで何をしているだろう。 

元気でやっているだろうか?

ダルシムよりは幸せでいて欲しいもんだ。

※ダルシムはインド人である。ご存知かとは思うが念のため

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午睡前

午後の授業は眠くて仕方が無い

腹が満たされると眠くなるのは人の常だ

俺のせいじゃない

第一、もっと面白い授業をやっていれば

眠気なんてふっとんでいるはずだ

サインもコサインもどうでもいい

俺はそんなものには興味が無い

タンジェントなんて論外だ

頼むからもっと俺の興味を引く授業をやってくれ

無駄な願いなのは、よく分かっている

ため息を一つ吐き

窓の向こうの運動場を見た

校長が教頭にコブラツイストをかけていた

笑顔の校長を見て

少しだけ高校生活が楽しくなりそうな予感がした

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『ゴールデンラッキー』 榎本俊二

『世にも奇妙な漫☆画太郎』の回で漫☆画太郎がベスト5に入るくらい好きだと書いた。今回紹介する『ゴールデンラッキー』の作者、榎本俊二は恐らくベスト1か2に入る。

この漫画と出会ったのは約五年前。漫画家を目指していた僕が、書き溜めた作品を抱えて東京へ行ったときのことである。持ち込みというのは大体、早い時間で午後一時くらいから見てくれる。だから午前中は結構暇なのだ。

集英社と小学館の場所を確かめた僕は、神保町の本屋で時間を潰していた。マニアックな漫画ばかりをそろえている書店で、こんな漫画があるのかと感心しながら本棚を見ていた。

一冊の気になる漫画が目に留まった。手に取ってみた。太田出版から出ているゴールデンラッキーという四コマ漫画だ。30956317

後から知ったのだが、これは榎本俊二のデビュー作でモーニングに連載されていたものをまとめて太田出版が上・中・下の三巻セットで出したものだった。

(←は上巻)

上巻の帯に四コマが二つ収録されていたのだが、それを読んだ僕は、『ちびまる子ちゃん』に出てくる野口さんのように「クックック」と声を出して笑ってしまった。

財布を確認すると二千円入っている。ゴールデンラッキーは千二百円。新幹線の往復チケットはもう買ってあったので、まあ食費を切り詰めればなんとかなるかと思い、レジへと走った。

帰りの新幹線で僕はゴールデンラッキーをむさぼるように読み続けた。こんな天才がいたんだと興奮しながら。

中巻の巻末に描いてある、『あとがき漫画』で読者の評価が真っ二つに分かれたと書かれていた。結構、罵倒するようなハガキも届いていたそうだ。「編集長は榎本俊二に弱みを握られているのですか?」というようなものも中にはあったらしい。

分かる気がする。これは確実に読者を選ぶ手の漫画だ。感性で描かれているシュールなギャグなので、分からない人には良さが皆目、理解できないだろう。

“ミュージシャンズ・ミュージシャン”という言葉がある。同業者から絶賛されるタイプの音楽家のことをいうのだが、榎本俊二はまさにこちらのタイプだ。一般の人よりもむしろプロのクリエイターなどから好まれる。

現にあとがき漫画で、岡崎京子、花輪和一、吉本ばなな、ゴンチチといった面々から賞賛されたと書いている。

そういえば今年、漫画の持ち込み(原作が僕で作画は別の人が手がけている)に行ったときに、やたらと“エノモトファン”の編集者が多かった。

やっぱり玄人受けする人なんだなあと、そのとき改めて思ったものである。

天才には二つのパターンがある。世間に認知されている天才と、そうではないものとが。

残念だが榎本俊二の凄さは、世間的にあまり知られていない。

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ベターマン

今日はミュージシャンをしている僕の友人を紹介しよう。

彼の名はベターマン。もちろん日本人だ。

(ホームページはこちらhttp://betao.fc2web.com/index.html)。

ベターマンとは日本橋で働いているときに出会った。黒澤映画が好きだというのを聞いて、興味を抱いた僕が食事に誘った。どちらもお酒が好きだというのもあって、王将で意気投合し、それから飲み友達になった。

王将へ行った数日後、ベターマンから誘いを受けた。桜ノ宮にあるライブハウスでライブをするから見に来て欲しいと言う。元々、音楽を聴くのが好きな僕はぜひ行かせてもらうと返事し、大国町から一時間以上かけて桜ノ宮へ向かった。なぜか自転車で。

ようやく桜ノ宮に到着した僕は汗まみれの手でライブハウスのドアを開けた。対バンの女性が歌い終わった後、ベターマンの出番となった。彼は緊張しているように見えた。さてお手並み拝見といこうかと僕は意地悪く腕組みをした。

演奏が始まった瞬間、僕は目を丸くした。漫画や小説は冒頭の数ページ、数行を読んだだけでその人の実力が分かると言われるが、それは音楽にしても同じだと思う。数秒聞いた瞬間、「あっ本物だな」と思った。

そう言えばこんなこともあった。堂島アバンザで行われる『街角コンサート』に彼が出演すると言う。時間が合ったので見に行く約束をした。またもや大国町から自転車で堂島へ向かう僕。家を出る直前、スコールのような大雨が降ったのだが、御堂筋線を走るうちに先ほどの雨が嘘のように晴れ渡ってきた。

雨の影響もあて、彼の演奏時間より少し遅れてアバンザに到着した。自転車を留められる場所を探していると、どこからともなく音楽が聞こえてきた。ベターマンの歌だった。吸い寄せられるよう僕は音のする方へ向かった。

雨上がりに広場で歌を歌う彼は絵になっていた。まるで映画のワンシーンのように美しい情景だった。

そのときベターマンが歌っていた曲の『ケーキはないけれど』はこちらhttp://musiccafe.seesaa.net/から視聴できるので、もし良かったら聞いてみて欲しい。彼の曲の中で最も僕が好きな歌である。

また11月18日(火)にベターマンが谷九にあるカフェバー『ワンドロップ』http://homepage2.nifty.com/cafe_onedrop/でライブをするので、興味のある方は足を運んで欲しい。

絶対にいいから。

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『世にも奇妙な漫☆画太郎』 漫☆画太郎

漫☆画太郎が好きだ。現役漫画家の中でベスト5ぐらいに入るほど好きだ。

少年ジャンプで連載されていた珍遊記は読んでいたが、この頃はさほど好みではなかった。ドラゴンボールのパロディ(フリーザが激怒する回)などは笑ったが、汚い絵の漫画家だなあというぐらいの印象しかなかった。

まだ僕が漫画を描いていた頃、持ち込みに行ったときの話である。編集者の人に「漫☆画太郎先生のデッサン力は、実は凄い高いんだよ」と聞かされ、そうなんだと驚いた。

物語の創作家は短編が得意なタイプと長編がで持ち味を発揮すると二つのタイプに分かれるのだが、この人は完全に短編タイプだ。

漫☆画太郎自身が「自分は大の連載嫌いである」と語っていることからもそれは推測できる。

さて『世にも奇妙な漫☆画太郎』である。現在、ビジネスジャンプで連載されている当作品であるが、相変わらずハチャメチャである。人は死にまくるし、近親相姦はあるし、スカトロジーはあるしと、自由に暴れまわっている。

ブラックなジョークが多く、中にはヒッチコック劇場のような後味の悪い結末のものもある。ひきこもりやストーカーなど扱い題材そのものがネガティヴなものが多い。

圧巻だったのは二巻に収録されている『シムラからの年賀状』だ。

加藤という男の元に毎年シムラから年賀状が送られてくる。見せ方が凄く上手くて、右ページに送られてきた年賀状を描き、左ページではその年賀状を見た加藤の反応を描いている。

さわりだけ説明すると、最初の年賀状は『僕たち結婚しました!』というものなのだが、それを見た加藤が「それにしても奥さんブサイクだな」と呟く。

そして翌年の年賀状。奥さんは整形しており、美人になっている。「えらい美人になったな」と加藤。

そしてまたその翌年。『子供が生まれました』と書かれているが、残念ながら子供は整形前の奥さんにそっくりだ。

次の年からがえらく急展開。『嫁が子供を殺して刑務所に入りました』である。子供の遺影を持った喪服のシムラが涙を流すという非常に悲しい絵だ。

気になった方は、買ってこの先の結末を確かめてみて欲しい。傑作であることだけは保証しておく。

あまりにも有名になった「シムラ後ろ!」のセリフを非常に上手く使っている。

興味を持たれた方はぜひ読んで欲しい。

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旧友との再会

この前、専門学校時代の友人と久しぶりに会った。マンガ家志望の同期の中で彼は一番マンガを描いていた。誰もが一目置いていた。俺はやると言いながら、何も描かない口だけの連中が溢れる中、彼は異彩を放っていた。

専門学校卒業後もたまに会って、お互いの作品を見せ合った。彼は某青年誌で入賞一歩手前までいったり、持ち込みで担当がついたりと刺激を与えてくれた。彼は明らかに僕よりも頑張っていた。

二年ほど前からであろうか? 彼と会ったときに違和感を覚えたのは。

刺激を感じないのである。なぜかなと考えた。

彼は明らかに停滞していた。マンガのレベルが上がっていない。マンガは娯楽であるのだから、人に読んでもらってなんぼ、人に楽しんでもらってなんぼの世界である。人の意見を参考にしながら、自分のマンガの方向性を調整していかないと成長しない。

だが悲しいことに彼の周りには読んでくれる人が少数だった。彼は自分のためだけにマンガを描いていた。持ち込みにも数年行っていないし、担当だった人との関係もとっくに切れている。

作品というのは正直で、その人間が楽しんで描いているかどうかが如実に出てしまう。どう見ても楽しそうに思えない。行き詰まりがそのままマンガ上に現れていた。人生を楽しんでないというのが作品から見て取れた。

電話がかかってきて、マンガを見て欲しいと言われた僕は、淡い期待を胸に待ち合わせ場所へ向かった。僕は基本的に表現者は作品のみで判断する人間だ。もしかしたら、昔のようにとんでもない作品を描いてきてくれるかもしれない。

会って話もそこそこにさっそくマンガを見せてもらった。僕の中にあった期待は見る見るうちに萎んでいった。

やはり停滞していたか。

過去に何度となく語っていた話を僕に話して聞かせる。内容は社会に対する不満、溜まった鬱積。まあ言ってみればただの愚痴だ。相槌を打ちながら哀しい気持ちになった。

長渕剛の『JEEP』というアルバムの中に『友だちが いなくなっちゃった』という曲が収録されている。

その歌詞が脳裏に浮かんだ。

何故に友達は羨むような目で愚痴しか言わなくなるんだろう
何故に友達は同じ川を一緒に渡れなくなっちまうんだろう
話す事も尽きてくると「それじゃまたな」って俺達は屋根裏部屋を出た

マンガの感想を言ってから少し話をし彼と別れた。正直言うと話していても眠たくて仕方なかった。

別れ際に「じゃあ、また今度」と言ったものの、また会うことってあるのかなと思った。

家に帰った僕はすぐに『JEEP』を探して聞いた。そして少しだけ泣いた。

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ゴミ捨て場に捨てられた女の子

先ほどの話である。中山塾長宅で飲み会を終え、午前十時頃に自宅へ戻った。天気がよく太陽がまぶしかった。

マンションに辿り着いた僕は、ゴミ捨て場で足を止めた。うちのゴミ捨て場は道路に面して設置されている。

ゴミ捨て場に捨てられていた女の子と目が合った。せつなげに僕の方を見上げている。

どうしようか一瞬、迷う僕。彼女を家に連れて帰りたい気持ちは当然あるが、どうしても人の目が気になる。それにそれをやってしまうと何か大切な物を失う気もする。

欲望に忠実であろう。

迷うこと数分。意を決した僕は行動に出た。彼女を家に連れて上がろうと。人の往来が少なくなったのを確認してから、ゴミ箱に手を突っ込んだ。

頭の中で声が聞こえた。

『高田はヤングマガジン28号を手に入れた。高田のレベルが下がった。人間性が3ポイント下がった。品性が4ポイント下がった。高田は大切なものを失った』

ちなみに女の子とは川村ゆきえである。

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