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『ゴールデンラッキー』 榎本俊二

『世にも奇妙な漫☆画太郎』の回で漫☆画太郎がベスト5に入るくらい好きだと書いた。今回紹介する『ゴールデンラッキー』の作者、榎本俊二は恐らくベスト1か2に入る。

この漫画と出会ったのは約五年前。漫画家を目指していた僕が、書き溜めた作品を抱えて東京へ行ったときのことである。持ち込みというのは大体、早い時間で午後一時くらいから見てくれる。だから午前中は結構暇なのだ。

集英社と小学館の場所を確かめた僕は、神保町の本屋で時間を潰していた。マニアックな漫画ばかりをそろえている書店で、こんな漫画があるのかと感心しながら本棚を見ていた。

一冊の気になる漫画が目に留まった。手に取ってみた。太田出版から出ているゴールデンラッキーという四コマ漫画だ。30956317

後から知ったのだが、これは榎本俊二のデビュー作でモーニングに連載されていたものをまとめて太田出版が上・中・下の三巻セットで出したものだった。

(←は上巻)

上巻の帯に四コマが二つ収録されていたのだが、それを読んだ僕は、『ちびまる子ちゃん』に出てくる野口さんのように「クックック」と声を出して笑ってしまった。

財布を確認すると二千円入っている。ゴールデンラッキーは千二百円。新幹線の往復チケットはもう買ってあったので、まあ食費を切り詰めればなんとかなるかと思い、レジへと走った。

帰りの新幹線で僕はゴールデンラッキーをむさぼるように読み続けた。こんな天才がいたんだと興奮しながら。

中巻の巻末に描いてある、『あとがき漫画』で読者の評価が真っ二つに分かれたと書かれていた。結構、罵倒するようなハガキも届いていたそうだ。「編集長は榎本俊二に弱みを握られているのですか?」というようなものも中にはあったらしい。

分かる気がする。これは確実に読者を選ぶ手の漫画だ。感性で描かれているシュールなギャグなので、分からない人には良さが皆目、理解できないだろう。

“ミュージシャンズ・ミュージシャン”という言葉がある。同業者から絶賛されるタイプの音楽家のことをいうのだが、榎本俊二はまさにこちらのタイプだ。一般の人よりもむしろプロのクリエイターなどから好まれる。

現にあとがき漫画で、岡崎京子、花輪和一、吉本ばなな、ゴンチチといった面々から賞賛されたと書いている。

そういえば今年、漫画の持ち込み(原作が僕で作画は別の人が手がけている)に行ったときに、やたらと“エノモトファン”の編集者が多かった。

やっぱり玄人受けする人なんだなあと、そのとき改めて思ったものである。

天才には二つのパターンがある。世間に認知されている天才と、そうではないものとが。

残念だが榎本俊二の凄さは、世間的にあまり知られていない。

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