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『燃える! お兄さん』 佐藤正

今さらながら、当ブログの名前について言っておくと、僕の大好きな漫画『燃える! お兄さん』を参考にさせてもらった。一字だけ変えて『吠える! お兄さん』というわけだ(そんなに吠えてはいないが)。

Photo  『燃える! お兄さん』はジャンプに連載されていたギャグ漫画だ。小学校の頃、よく読んでいた。だがどちらかというと、僕は新沢基栄の『ハイスクール! 奇面組』の方が好きだった(ちなみに佐藤正は新沢基栄の元アシスタント)。

奇面組の方はどちらかというとソフトなギャグである。毒性もそんなに強くない。作者が下ネタを嫌い、アニメ化の際に「パンチラは絶対なしで」と要望を出したほどである。

対して『燃える! お兄さん』の方は、毒が非常に強い。僕は筒井康隆が好きなのだが、二十歳を越えてから『燃える! お兄さん』を読み直し、完全に筒井テイストだと思った。

筒井康隆と言えば『無人警察』での癲癇の記述が、差別に当たるとされ、てんかん教会から抗議を受けたのだが、佐藤正もこの手の差別事件を起こしている。

1990年にジャンプの第45号、『燃える!お兄さん サイボーグ用務員さんの巻』で、主人公(国宝憲一)の担任である早見先生が、仕事上の失敗から担任を外され同校の用務員をすることになる。そこで憲一は

「もう先生じゃないんだな。ただの働くおっさんなんだな」

という台詞を吐き、早見先生をいじめまくるという内容だった。読者や用務員組合から抗議が殺到し、ついにはその話を掲載したジャンプを回収するという騒動にまで発展した。

『レッツラゴン』などは特にその傾向が強いのだが、ギャグ漫画のキャラクターというのは、登場人物同士が真面目に戦っている。当の本人たちは大真面目なのだが、その様が滑稽だからこそ、読み手は笑ってしまうのだ。

そういう面も含め『燃える! お兄さん』はあらゆる意味“戦い”の漫画である。文字通りキャラクター同士もよく戦ったし、ぎりぎりの差別表現で読者とも戦っていた。

笑いは突き詰めると、絶対に差別問題に行き当たる。だからこそ抗議されたときに、自分は意図して、この表現をしたのだと言える、強い信念が必要なのだろう。

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