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2009年6月

『箱の中の戦争』

ちょっと、おかあさん

いいから来てよ

ほらこの前に

山梨のおばあちゃんが送ってきてくれた桃あったでしょ

あれが大変なことになってるのよ

洗濯物なんかいいから、はよ来てよ

わかったわ

手が離せへん言うんやったら

状況だけ説明するね

全部の桃の中から何か出てきてるの

虫じゃないって

人が出てきたの

ちっちゃい人がね

いっぱい出てきてはるわ

「何言うてんの?」って、ほんまやねんて

ああ、やっと来てくれた

ほら、箱の中見てよ

いっぱい人が出てきてるでしょ?

ああ、そう言われたらそうやね

よう見たら全員、桃太郎やねえ

ああ、持ってる刀で切り合い始めたわ

えらい血が飛び散ってるわ

ほんまに野蛮やわあ

おかあさん、山梨のおばあちゃんに電話してくれる?

「なんで?」て

こんなに桃が血まみれなったら食べる気せえへんわ

私、桃が大好物なん知ってるでしょ?

せやから電話してよ

うわー、箱の中血まみれやわ

大惨事とはこの事やね

面白いからしばらく眺めてよっと……

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思いやり

フリーター暦が長いので、今まで結構たくさんのアルバイトをしてきた。

短期契約で工場の労働をした事などもあるが、大体は接客業だ。

たまに障害者の人たちと接する機会がある。こちらとしては、できるかぎりの事はしようと思うのだが、やってもらって当然という態度の人も中にはいる。

はっきり言えば、ものすごく態度が悪い。

人が自分のために動いてくれて当たり前、という考え方なのだろう。できない部分に関しては、周りの人間がフォローすべきだとは思うが、問題は本人がその人たちに対してどういう気持ちでいるかだ。

あまりにも横柄だど、やはりこちらもいい気はしない。

もちろん、気持ちのいい対応をしてくれる人もいる。

いずれにせよ。感謝の気持ちを忘れるような人間だけには、なりくたくないもんである。

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『セックス障害者たち』 バクシーシ山下

01692075 藩金蓮さんからお借りしていた『セックス障害者たち』を読み出したら、止まらなくなって一気読みしてしまった。

出てくるのは全て異形の者たちである。著者であるAV監督バクシーシ山下が、過去に関わった人間を、作品とともに振り返っていく。

自由自在に吐瀉物を操れる男、飲尿マニア、どんな状況でも相手が誰でもエレクトさせられる男、ヤギを見て興奮する者など、まあマニアな人たちがわんさか出てくる。

面白かったのが、『密閉監禁七日間』の話。地下で男と女を一週間、監禁しその模様を撮影するという趣旨のビデオなのだが、食料という事で地下に鯛や鶏が用意されている。

お腹が減ったらそれを捌くわけなのだが、板前経験のある男優、花岡じったが料理をして一番初めに食べる。その後は、序列の通りに食べていくという流れなのだが、これはAV女優(バクシーシ風に言えばAVギャル)の扱いにしても全く同じなのだ。

先に花岡じったが手をつけて、その後に他の者たちが行為に及ぶという、完全に原始的な世界になっている。

バクシーシ山下のシニカルな視点も面白い。これだけおかしな人たちと接していながら、自分はいたってクールなのだ。彼の基準は、変わっているかどうか? 社会的に不適応でおかしな人間に興味を引かれるようである。

突き詰めると、やっぱりこの人も“人間”というものに興味があるんだなと感じた。それを自分の作品を通して、どう表現していくかをやり続けたのだろう。

ただ、バクシーシ山下の友人であるカンパニー松尾から「お前の撮影したAVを見て、興奮した事がない」と言われるぐらい、エロからはかけ離れている。

AVの形こそとっているものの、この人のやりたかったのは“壮大な実験”、人は危機的な状況に追い込まれると、どのような顔を見せるのかを、目の当たりにしたかったのではないか?

僕はこの本を読んで、そう解釈した。

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気分はドラクエ

めったにゲームをやらない僕であるが、数ヶ月前にやったDSのドラクエ・ジョーカーを最近、ちょこちょこやり始めている。

先ほどのことである。僕がベッドに寝転びながらドラクエをしていると、何やら天井をうごめく物体が……。

外していたメガネをかけて確認すると、予想通りゴキブリであった(※バイト先に来る彼ではありません)。

気温が上がると、出るようになるのだ。

人類に英知である『ゴキジェット』を手に取った僕は、さっそく臨戦態勢に入った。

ベッドに置いたままのDSからは、気分を高揚させるようなBGMが流れている。

そう、その時たまたま僕はゲーム上で、あるモンスターと戦っていたのだ。

なんか僕がゲームのキャラクターになって、敵と対峙しているような錯覚に陥ってくる。

神経を集中させ、指先に力を込めた。

高田の攻撃

高田はゴキジェットを噴射した。

かいしんの一撃!!!

ゴキブリAに(ちなみにAしかいないが)甚大なダメージ。

ゴキブリAを倒した。高田は50の経験値を獲得した。

そして戦いは終わった。

これ以上、僕の部屋にモンスターが現れない事を祈りたい。

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『作劇的人々』更新情報!

『作劇的人々』の第十七回を更新いたしました。ゲストは作家コースの、木下将司くんです。どうぞ、よろしくお願いします。

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ふと気づく

今、とある計画を練っていて、そのために自分の書いた短編に絵をつけてもらう、という試みをしている。

これをやって思った事は、極めて当然なのだが、小説と映像というのが決定的に違うという事だ。

短編の性質上、ラストにオチを作るのだが、小説の場合だとオチの後にも結構、うだうだと蛇足の文章を付け足してしまう。

蛇足といっても、味わいのある蛇足というべきものだ。文章の場合、一見無駄であっても、それは完全な無駄とはならない事がある。

それに反復の面白さというのも存在する。似たような内容の事を繰り返し、繰り返し、書く事によって笑いを誘う。いわゆる“天丼”というやつだ。

僕は結構ひつこいぐらいに、反復の笑いを狙った文章を書く方なのだが、これもその場面を映像化すると、あまり面白くないというのがやってみてわかった。

映像化が前提となるシナリオは記号で、文章は味わう物という事なのだろう。

他の分野とコラボレーションすると、こういうところに気づくのが、実に面白い。

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『口から生まれてすいません』

うーわ、なんやのこの子

口から先に生まれてるやないの

ちょっと、お父さんも先生も

ぼーっと見てるんやなくてな

捕まえてよ

先に口捕まえとかんと

どっか逃げてもうたら取り返しつかへん事になるで

あたし、赤ん坊の体が出てくるまで動けへんがな

何が「お前のせいや」やの

あんた、この状況でようそんな事言えたなあ

そら、あたしはよう喋るで

口から先に生まれてきたって何べんも言われたわ

せやけど、それとこれとは別やないの

今はその口捕まえるのが先決ちゃうの?

なんか情けなくて涙出てきたわ

それにしても、すばしっこい口やなあ

みんな完全についていけてないなあ

ちょっとみんなしっかりしてや

はよ、捕まえてえな

あたしは分娩台で眺めてるさかいな

あれ、あれれ

なんでやろ

また股の間から口が出てきたがな

どういう事やの?

双子かいな?

いやエコー写真では一人しか写ってなかったもんなあ

双子ではないな

ほんならなんでや?

なんでとか言うてる間に、また股の間から口が……

もういややわ

なんでこんな事になるのよ

あたし、なんかした?

これ絶対なんかの呪いやで

あーあ、次から次へと口が出てくるわ

下の口から、たくさんの口が……

もうこうなったら仕方ない

最後の手や!

何してんの?ってあんた

口たちを睨みつけてるんやないの

ほら昔から言うやろ?

“目は口ほどに物を言う”って

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傘と子犬と女の子

今朝方、家を出てバイト先に向かっていた時の事である。

小雨が降り始めていたが、家からバイト先まで五分ほどの距離なので、気にしていなかった。だが雨は段々と本降りになっていく。

傘を持って来なかった事をやや悔いながら、まだオープンしていない服屋の軒下で雨を凌いで信号待ちをしていた。

僕のいる場所から、少し離れた所に傘を差した小学生の女の子たちの姿が見えた。

どこから来たのか、彼女たちの足元にトコトコと、犬がやってきた。

トイプードルのように見えたが、どうやら野良犬のようである。毛が汚れている。

一人の女の子が犬に近づき傘を差し出した。

すると、他の女の子も同じように傘を出して、犬に雨が当たらないようにし始めた。

信号が変わると共に、犬と女の子たちは去っていったのだが、朝からちょっといい光景を見たと思った。

『早起きは三文の徳』とは、言ったものである。

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『確率は4分の1』

ああ、やっぱりや

嫌な予感ちゅうのは当たるもんやね

今さらこんな事言っても遅いけど

桃太郎があれを言い出した時

もっと反対すれば良かったわ

何が『きびだんごロシアンルーレット』やねん

それもな

中にカラシとかワサビが入ってるぐらいやったらええわ

毒入りってなんやねん

命にかかわるやんけ

なんでそんな命がけの遊びせなあかんねん

でもな

目の前に団子置かれたら食べてまうやん

俺、犬やねんから

その辺やっぱり我慢できひんやん

畜生やねんからね

ああ、絶対そうやわ

俺が毒入り食べたんや

なんかフラフラするし視界がぼやけてきてるもん

桃太郎呼びたいのに声が出えへんがな

あーあ、キジとかサルとか楽しそうやな

サルなんかキャッキャ言うてるもんなあ

どうやらここまでか

鬼が島行きたかったなあ

桃太郎と出会うのに三年もかかったのになあ

ほんまに残念やわ

あーあ、桃太郎たちが遠ざかって行く

そして俺の夢も……

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『最強メンバー』

友人を連れ立って、久々になじみの雀荘へ赴くと

入り口の雀卓を四人組が囲んでいた

キリスト、釈迦、マホメット、そして麻原彰晃

どっからどう見ても本人にしか見えないくらい、よく似ている

隣の雀卓へと移動した俺は

誰が勝っているのかなと

横目でちらちら彼らの方を気にしていた

麻原の圧勝であった

俺が解せないでいると、友人が耳打ちしてきた

「おい、麻原は盲牌ができるんだよ」

彼のその言葉を聞いて、一気に疑問が氷解した

結局、ずるい奴が勝つのである

神も仏もイカサマ師相手だと分が悪いらしい

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『作劇的人々』更新情報!

『作劇的人々』の第十六回を更新いたしました。ゲストは作家コースの、坂本十三さんです。どうぞ、よろしくお願いします。

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『頭に五寸釘』

あっ、いつの間にか、うとうとしてたみたいやな

うーわ、最悪やん

頭に釘刺さってるやん

グッサー刺さってるやん

痛いわあ、ほんまに痛い

なんでこんな目に合うんやろか?

わし、なんか悪いことしたか

もしそれやったらこんな仕打ちする前に言うて欲しいわあ

ああ、これ抜けへんかなあ

うんしょ、こらしょ、どっこいせのせ

あかんわ

完全に釘が頭を貫通しとるね

せやのにこんだけ喋れてるのが奇跡やね

でも誰もほめてくれへんのが哀しいね

おーい、誰かいてんかあ

あのなあ、頭に釘刺さっとんのや

自分ではどないもでけへんねん

誰か来てくれー

そして釘を引き抜いてくれえ

礼はするさかいに

なんやねん

こんだけ呼んでも誰も来えへんやん

あっやっと誰か来てくれたみたいやな

呼んだ甲斐があったっちゅうもんやで

誰かが言うてたなあ

「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」って

うーわ、最悪や

職人来てるやん

ほんまにもう、なんなん?

自分なんか呼んでないし

あーあ、包丁きらつかせて

もうサバく気、満々やん

えっなんやて?

これは五寸釘やなくて『目打ち釘』って言うの?

いや、死ぬ間際にそんな豆知識教えられても困るし

めっちゃドヤ顔してるし

はーあ、今更こんなこと言うのもおかしいけど

なんでウナギに生まれてきたんやろうな

来世は別の生き物に生まれ変わりたいね

アナゴなんかいいね

いや、アナゴはあかんな

あんまり今と変わらへんもんな

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ゴキブリの成長

タイトルを見て、僕の家にいるゴキブリが成長していると思った方がいるかもしれないが、そうではない。

1月に書いた『八時半の男』をお読みいただけば、おわかりになると思うが、僕のバイト先に八時半頃現れる通称“ゴキブリ”という困ったお客がいる。

何をしても怒るので店長や僕は、彼が来た途端

「お前行け!」

「いや、店長こそどうぞ」

と押し付けあうぐらい嫌っていた。

さて今日の事である。

朝方の通勤ラッシュ時、僕がレジを打っていると、店外で自転車が止まるのが見えた。

僕はレジを操作しながら、それとなく外を確認した。

ゴキブリだった。

とにかく彼は、待たせると怒る。

「やばい」と思った僕は、パンの品出しをしていた店長に

「レジお願いします!」

と叫んだ。

店長が2レジへ入ったのだが、ゴキブリがそちらへたどり着くまでに、別のお客さんが店長の方に向かった。

「やばいなあ。ゴキブリの奴、これはキレるぞ」と僕は内心、覚悟を決めた。

しかし、ゴキブリは怒るどころか、おとなしく先客の後ろに立って待っている。

そればかりではない。いつもは店員にお金を放り投げるのに、ちゃんと店長へ手渡したそうだ。

そう言えば、最近ゴキブリの態度が良くなった気がする。

店内にお客さんがいなくなってから、僕が店長へそう告げると

「確かにそうだ」

と、うんうん頷いている。

店長いわく、僕の教育の仕方が良かったからではないかという事だ。

僕は、怒鳴れるのが嫌だから(誰でもそうだが)、ゴキブリが店の外に見えた瞬間、ゴキブリが好んで吸うタバコである『マイルドセブンの10ミリ、ソフト』を手に取り、バーコードをスキャンするようにしている。

ゴキブリは入ってくると300円を僕に渡して、すぐに店を出ていく。

これを来る日も来る日も、繰り返すうちに段々態度が改善されていったのではないか? というのが店長の推論だ。

頑張れ! ゴキブリ。人間までもう少しだ。

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三沢光晴、逝去

さっき知ったのだが、プロレスラーの三沢光晴が昨日、亡くなったらしい。

プロレス好きの僕としては、かなりショックだ。

かつてJWPという女子プロレスに所属していたプラム麻里子が、パワーボムを受けた後、亡くなるとう痛ましい事件を思い出した。

三沢の所属していたノアや、旧全日本プロレスは、まさに命を張ったぎりぎりの攻防で客を楽しませていた。一歩間違えれば、命を落としかねない技の応酬は、鬼気迫るものがあった。

三沢はかつて2代目タイガーマスクを務めていたのだが、後に袂を分かつことになる川田利明に、マスクの紐を解かせて、脱いだマスクを客席に投げるシーンや、当時のエースだったジャンボ鶴田をフェイスロックで破り、世代交代を果たした武道館の試合などが、鮮明に焼きついている。

そしてテレビ番組に出ると、下ネタを飛ばすおっさんとして、いい味を出していた。

今年は忌野清志郎といい、三沢光晴といい、偉大な人がよくなくなる年だ。

ご冥福をお祈りいたします。

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感謝

『DMM DVD』の5月号に掲載された藩金蓮さんの書かれている『アダルトビデオ調教日記・第21回』の記事が、こちらでお読みいただけます。

僕と藩さんが行った『AV探索紀行』の事が載っております。

藩さん、ありがとうございました!

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紫色のおばあさん

昨日の事である。僕がバイト先でレジにいていると、ひとりの女性が近づいてきた。

70代ぐらいであろうか。品の良さそうなおばあさんが声を掛けてきた。

「タクシーを呼びたいんだけど、電話を貸してくれないかしら」

と言う。おばあさんの話では、携帯を持っているけど事情があって使えなくなったので、電話を貸してもらえないだろうかという話だった。

まあ少しぐらいいいかと思い、僕は店にある電話の子機を渡した。

するとおばあさんは、礼を言いながら、タクシー会社の紙を取り出し、プッシュホンを押し始めたのだが、繋がらないようだ。

確認すると電話番号ではなく、郵便番号を入力していた。かからないはずである。

僕が代わりにかけてあげると

「若い人は、やっぱり打つのが早いねえ」

と感心している。

店内に他の客がいなかったので、おばあさんの話を聞く事にした。だがいろいろと聞いていくと、頭の中に『?』が浮かんでいく。

まず会話に脈略がない。話がどんどん飛んでしまう。

「ほら、馬場さんいるでしょ。馬場さん。あの人に頼まれて来たんだけど、最近、馬場さんがね」

と急に僕の知らない『馬場さん話』をし始めたかと思ったら、携帯を取り出して

「昨日、ちゃんと充電してたんだけど、店の若い子がね、意地悪で携帯を使えないようにしたのよ。だから今から充電させてもらっていいかしら?」

と言い始める。この辺でさすがに僕もちょっとやばいかなと思い始めた。

それとなく、おばあさんを観察した僕はおやっ? と思った。

紫の上着がシースルーで、胸が露になっている。下着は全く身に着けていない。その姿を見て、ああ、尋常ならざるお人なんだと合点した。

巨乳ばあさんの話は、なおも続く。

「私も昔は大阪の方でお店をやっていてね。人をたくさん使っていたのよ。でも店のお金を従業員が使い込んじゃって。今度、店を開こうと思うんだけど、またその時には、あなたも……」

僕は結構人の話を聞く方なのだが、ここらでいい加減早く終わらないかなと、思っていた。

僕の気持ちを察したのか、おばあさんは

「ありがとう。本当に親切にしてくれて助かったわ。お礼と言ってはなんだけど」

とカバンを取り出し、中身をレジの上に並べ出した。

「これね。着物の生地で作ってある物なんだけど、結構高いのよ。お礼に受け取って」

とカバンを差し出してきた。

「申し訳ないですが、いただく事はできません。お気持ちだけで結構です」

と僕は、それを必死に阻止しようとしたのだが、おばあさんは頑として譲らない。

他のお客さんも入ってきているし、このままでは支障が出ると思った僕は、ついに折れてカバンをもらう事にした。

だが家には持って帰らずに、忘れ物を入れる箱の中に入れておいた。

僕の直感で、それを持って帰ると不吉な事が起きるような気がしたのだ。

ようやく、おばあさんが出ていったのでほっとしたのだが、30分後にまた戻ってきて携帯を充電させて欲しいと言ってきた。

店のコンセントを使って、望みを叶えてあげると、また丁寧に何度も礼を言って、店を出ていった。

外を見ると小雨がぱらついていた。

その三十分後、またおばあさんが戻ってきた。

「雨降ってきたねえ。雨降ると思わなかったのよ。傘ないかしらね」と言う。

店にある置き忘れの傘をあげると、深々とお辞儀をして礼を言い出て行った。

その後の数時間は、誰かが入店すると、またおばあさんなのではないかと、ヒヤヒヤしていた。

とにかくインパクトのある、おばあさんだった。

何度も書くが、大国町は変わった人が多い。

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『作劇的人々』更新情報!

『作劇的人々』の第十五回を更新いたしました。ゲストは作家コースの、すぎやまなつき君です。

どうぞ、よろしくお願いします。

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野球観戦

先週、数年ぶりに阪神の試合を見に行ってきた。天候を心配したのだが、リニューアルされた甲子園球場は、日除けが欲しくなるほどの快晴。

そして、阪神も快勝。二時開始で五時には終わるというテンポの良い試合だった。

入場者数が今期最多だというのを、ヒーローインタビューで知る。

ライトスタンドで観戦したのだが、約三時間を一緒に応援し続けた近くの席に阪神ファンと、帰り際には握手をして別れた。

確か前も京セラドーム(当時の大阪ドーム)で観戦した時も、隣の太っちょ四人組と仲良くなり、帰り際にはひとりひとり握手をして別れた記憶がある。

それにしても、ライトスタンドにいる男性の阪神ファンは、なぜ高確率で恰幅がいいのだろう。

偶然だろうか?

誰か知っている人がいたら、教えていただきたいもんだ。

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どうなる日本?

バイト先のコンビニで従業員が万引きをしてしまい首になったと、以前の記事で書いた。

という訳で現在、僕のバイト先ではバイト募集をしているのだが、店長の話によると電話を掛けてきた20人のうち15人が中国人だったそうだ。

残りの5人は日本人なのだが、3人が全く使い物にならない印象を受けたと言っていた。

それにしても、浪速区のコンビニや99ショップは中国人店員が多い。

単純労働は、外国人によって取って変わられるだろうという話はよく耳にするが、実情を知るうちに、それが現実味を帯びてきたな、と思う今日この頃である。

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我ら妖怪人間

この前、ボクサー、辰吉丈一郎のドキュメンタリーをやっていたので見ていた。

辰吉の父が、息子の事を振り返る場面がある(阪本順治監督が撮影した『BOXER JOE』という映画の一場面で)。

そこで父は「わしは、ジョー(辰吉の事)を育てて、人間に近づけたと思うとる。もしあの子を育てていなかったら、もっとろくでもない人間だったはずや」というのだが、この一言にかなり共感を覚えた。

辰吉の父は、男手ひとつで辰吉の事を育てあげたのだが、経済的にはかなり苦しく、辰吉も少年時代は貧乏が原因でイジメにあっていた。体調も優れなかったのだが、それでも決して弱音は吐かず、息子を育て上げた。

父の頑張りなしでは、『世界チャンピオン・辰吉丈一郎』は生まれなかったのだ。

彼が口にした“人間に近づけた”という言葉は、よくわかる。

作家になりたいとか、漫画家になりたいとかいう、クリエイター志望の人間も、辰吉の父と同じで、協調性がない、朝起きるのが苦手など、社会人としてダメなタイプが多い。もちろん僕もそうである。

だが作品を人に認められて、経済的な価値のある物を生み出せるようになって、ようやくに近づけるのではないか?僕はそう思うのだ。

そう、我らはみな妖怪人間なのである。

だから僕も、早く人間になりたい。

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身から出た錆

5月19日の『店長の憂鬱』という記事で、僕のバイト先の店員が、店の商品を万引きしたと書いた。

昨日の事である。僕がレジに入っていると、明らかに負のオーラを漂わせた男性が入ってきた。店長から、「今日は面接があるので、人が来たら呼んでね」と頼まれていた僕は

「アルバイトの面接に来られたんですか?」

と確認をした。

すると男性は、力なく首を振るばかり

「店長を呼んで下さい」と言うので、言われた通りにした。

出てきた店長は、男性と店の外で何かを話している。

今にも泣きそうな顔で、必死に謝っている男性を見て僕は先月に見た、ある書置きを思い出した。

『5月17日、夕方。店の商品を万引きしてしまいました。6月4日、必ず弁償します』

そう、彼が万引きをした当人だったのだ。

あとから男性の現状を店長に聞いたところ、四十歳なのに無職で、アルバイトの面接を落ちまくっているという事だった。

「このままいくとホームレスをするしかない」

と本人が言っていたそうだ。

そう言えばレジで話した時、少し臭いがするなと思ったのだが、そういう事だったのかとひとり合点した。

横断歩道を渡り、遠ざかっていく彼の後姿を見ながら、馬鹿な事はするもんじゃないなと思った。

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『作劇的人々』更新情報!

『作劇的人々』の第十四回を更新いたしました。ゲストは漫画コースの、三輪君です。

どうぞ、よろしくお願いします。

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『真剣勝負パンツ』

ふー、ただいま

あれっ、なんや家ん中シーンんしてるなあ

おかん、買い物行ってるんかな?

困るなあ

クラブ活動を終えて腹ペコの息子が帰ってきたのに

飯が作られてへんとは一大事やで

ああっ、おかん、いてたんかいな

なんや、うたた寝して

あーあ、えらいヨダレやなあ

畳に染みいっとるがな

おいおい、いくら家ん中とはいえ股は閉じんかい

パッカー開いとるやん、パッカーって

もう見たくないもんが見えてますがな

うーわ、もしかしてこれって勝負パンツちゃうん?

なんで勝負パンツはいてるねん

引くわあ

母親のそういうのって引くわあ

その年なって誰と勝負する気やねん

誰と勝負しても負けるに決まっとるがな

いつまで女でいるつもりやねんな

あれっおとん

いつの間に帰ってたんや

びっくりするがな、黙って後ろ立ってたら

あっもしかして

おかんが勝負する相手って……

なんや、そういう事かいな

自分ら仲ええなあ

いや、ええ事やとは思うけども

さすがに息子の立場からすると

勝負せんといてもらえると助かるかなあ、なんて

こんだけ言うても、やっぱり勝負すんの?

うーわ、真顔で頷いてるやん

ほんなら、俺ちょっと用事あるし

出掛けてくるわ

「どこ行くねん」って、どこでもええがな

まあ朝になるまで帰らんと思うけどな

ほな、行ってきまーす

ごゆっくり

ふー、家族やのに

何でこんな気ぃ使わなあかんねんな

ほんまにお盛んな二人やで

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黒田の話

今朝、いつもの如くコンビニのレジに入っていると、若い男性二人が店にやってきた。

おそらく朝帰りと思われる彼ら。とにかく声がでかい。

何を買うわけでもなく、大きな声で店内をぶらつきながら話をしている。

他に客はいない。聞きたくなくても、自然と会話の内容が頭に入ってくる。

右側を歩いていた茶髪が、思い出したかのように話し始めた。

「そうや。この前、松っちゃんの番組でめっちゃ面白い話聞いてん」

左側の坊主頭が興味を示す。

「えっ何、何のやつ。教えてや」

したり顔の茶髪。

「火曜の晩やってる『人志松本の○○な話』ってあるやん」

ウンウンと頷く坊主頭。

「あれで戦国武将の話をしててんけど」

なるほど、あの話だなと、ここで僕はピンときた。

どんな話だったかと言うと、黒田官兵衛が才知に長けるがゆえに、側近として仕えていた秀吉からこいつは油断ならんと、思われるようになり冷遇を受けるようになる。

秀吉の死後、関が原の戦いで、官兵衛は人生を賭けた勝負に出る。長期戦になるとにらんでいた官兵衛は、家康の元に、息子の長政を送り込む。家康が長い戦いで疲弊したところを狙い打とうという算段だったのだが、この目論見は外れる。

なんと関が原の戦いは、一日ほどで終わってしまったのだ。しかも、短期決着になった一番の原因である、小早川秀秋の寝返りには、官兵衛の息子である長政が深く関与していたという、涙なしでは語れない、とても哀しいお話なのだ。

「戦国武将って誰なん?」という坊主頭の問いに、茶髪は胸を張ってこう応えた。

「クロベエって言う武将の話」

レジで作業をしていた僕は、思わずスッコケそうになった。

でも何とか頭の中で、辻褄を合わせようと試みた。

もしかすると黒田官兵衛だから、略してクロベエと言っているのかもしれない。

この辺りは、我ながらポジティブだと思う。

茶髪はさらに続ける。

「そのクロベエってやつが、信長についててんけど」

もうむちゃくちゃである。坊主頭がついに反撃に出た。

「それって、黒田官兵衛ちゃうん? なんやねんクロベエって」

茶髪の顔が見る見るうちに、赤くなっていく。

「しかもお前な。黒田官兵衛って秀吉についててんぞ。信長ちゃうって」

もう茶髪の顔は真っ赤っけである。どうやら坊主頭の方が歴史に詳しいようである。

何とか形成逆転を狙う茶髪。

「お前が間違ってるだけや。俺はちゃんと、ユーチューブで調べたもん」

多分、茶髪はウィキペディアと言いたかったのだろう。

「あほか、お前。ユーチューブでどうやって調べるねん。ウィキペディアやろ?」

「うるさいわ!」

ついに、ブチ切れる茶髪。

その後、二人は不穏な空気を漂わせたまま店を出て行った。

彼らの友情が“クロベエ”ごときによって壊れない事を、切に願う。

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