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『やり逃げ横丁』《創作物》

目を覚ますと、頬にひんやりとした感触があった

まだ辺りは薄暗くて人通りは少ない

ふと、昨夜の記憶が甦る、断片的に

見知らぬ男に声を掛けられた私は

地下にあるバーへと行った

そこまでは覚えている

しかし、その後どうなったのか

まるでわからない

ただひとつ確かなのは

熱狂的な巨人ファンである私が

トラッキーの着ぐるみを着せられ

道路に捨てられているという事だ

恐らく男の仕業だろう

男の携帯のストラップが

タイガースの物だったのを覚えている

この上ない屈辱

これなら、たんにやり逃げされた方が

まだましだ

さあ、これからどうして帰るべきか

この忌々しいトラの着ぐるみを今すぐ脱ぎすて

下着姿で帰宅すべきか

それとも恥を忍んで

この格好のまま帰るべきか

それが問題だ

辺りを見回すと

新聞配達の自転車が

こちらへ向かってくるのが見えた

坊主頭の自転車の少年は

私の姿を視界に入れると

「ムフッ」という笑みを漏らした

殺してやろうかと思った

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