『セックス障害者たち』 バクシーシ山下
藩金蓮さんからお借りしていた『セックス障害者たち』を読み出したら、止まらなくなって一気読みしてしまった。
出てくるのは全て異形の者たちである。著者であるAV監督バクシーシ山下が、過去に関わった人間を、作品とともに振り返っていく。
自由自在に吐瀉物を操れる男、飲尿マニア、どんな状況でも相手が誰でもエレクトさせられる男、ヤギを見て興奮する者など、まあマニアな人たちがわんさか出てくる。
面白かったのが、『密閉監禁七日間』の話。地下で男と女を一週間、監禁しその模様を撮影するという趣旨のビデオなのだが、食料という事で地下に鯛や鶏が用意されている。
お腹が減ったらそれを捌くわけなのだが、板前経験のある男優、花岡じったが料理をして一番初めに食べる。その後は、序列の通りに食べていくという流れなのだが、これはAV女優(バクシーシ風に言えばAVギャル)の扱いにしても全く同じなのだ。
先に花岡じったが手をつけて、その後に他の者たちが行為に及ぶという、完全に原始的な世界になっている。
バクシーシ山下のシニカルな視点も面白い。これだけおかしな人たちと接していながら、自分はいたってクールなのだ。彼の基準は、変わっているかどうか? 社会的に不適応でおかしな人間に興味を引かれるようである。
突き詰めると、やっぱりこの人も“人間”というものに興味があるんだなと感じた。それを自分の作品を通して、どう表現していくかをやり続けたのだろう。
ただ、バクシーシ山下の友人であるカンパニー松尾から「お前の撮影したAVを見て、興奮した事がない」と言われるぐらい、エロからはかけ離れている。
AVの形こそとっているものの、この人のやりたかったのは“壮大な実験”、人は危機的な状況に追い込まれると、どのような顔を見せるのかを、目の当たりにしたかったのではないか?
僕はこの本を読んで、そう解釈した。
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